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仙北市交流デザイン課(旧農山村体験デザイン室)

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仙北市に避難している方々が農家と交流

 仙北市内のホテル等に避難している被災地の方々に、農家などで農林業などのお手伝いをしていただいたり、農作業で忙しい農家の賄いご飯を作ってもらうなどすることで、市民と交流を深めたり、仙北の生活文化とふれあってもらったりしてもらうことができないかと考えた当デザイン室。
 当市に設置されている東日本大震災支援本部と情報交換しながらホテル関係者や避難者の方々との調整を重ねて、6/15(水)にグリーンツーリズム受入団体である仙北市農山村体験推進協議会(事務局:当デザイン室)が窓口となって市内の2団体(NPO法人田沢湖ふるさとふれあい協議会・グリーンツーリズム西木研究会)に所属する農家民宿10件で農家交流を実施しました。
(この実施に先駆けて行った6/4の事前練習はこちら

 ほとんどの方が水産業に携わっている方々であるため、農山村での生活文化や農作業そのものが珍しいことはもちろん、めいっぱい体を動かしたり、あるいは自らがキッチンに立って料理を作ったりすることが難しい状況の中で、普段から農業体験や農村生活体験などの受入を実施している農家民宿などグリーンツーリズムができることは、まさにこのような事なのでは??との仙北市農山村体験推進協議会と私たち農山村体験デザイン室のひとつの答えです。

 今回、参加されたのは宮城県から田沢湖高原のホテルに一時避難している方々のうち、事前に参加希望のあった3つのホテルに滞在する35名の方。

 以下は、それぞれのみなさんのふれあいの様子です。

<田沢湖石神地域の3軒(甚吉・惣之助・ぺんしょん孫兵衛)>
 この3軒に行った10名は、午前中は石神集落の方々と一緒に花植えをしました。
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甚吉
 甚吉さんでは午後からおやき作りと石神神楽のDVD鑑賞をしました。
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 甚吉さんは石神番楽会で普段から太鼓を教えたりしており、避難したみなさんが地元集落の伝統行事の獅子振りを6/7に復活させた際には、この石神番楽から太鼓をお借りすることができたのでした。
 また、おやきは宮城県の沿岸では甘いのは珍しいようで、自分で作った甘いおやきを漁師さんも美味しそうに食べていました。
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惣之助
 惣之助さんでは午後からは、ちまき作りをしました。
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 このちまきは笹の葉だけでなく、栃の葉も用いた珍しいもので、笹の葉は白い餅米、栃の葉は餅米に小豆を混ぜた赤色で、これにきなこなどをつけていただきました。
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ぺんしょん孫兵衛
 孫兵衛さんでは午後からは、アスパラ畑の手伝いをしました。
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 畑で収穫したまま生で食べてもびっくりするほど美味しいアスパラに、本当に感動していらっしゃいました。
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<田沢湖生保内地区のかまど
 かまどさんは仙北市では唯一の酪農を営む農家民宿さんです。午前中はみんなで草むしり。午後は宮城で民宿の女将さんだった方も含めてみんなで料理。
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 女将さんにとっては久しぶりのキッチンだったはず。かまどのお母さんと一緒に手際よく料理を作り配膳して本当に楽しそうで、囲炉裏を囲んで食べた料理が本当に美味しそうでした。
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次に西木地区の農家民宿です。

星雪館
 星雪館さんでは、午前中には小豆の種蒔き、午後はハウス栽培のほうれん草収穫作業でした。
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 お昼に出た料理はほとんどが山菜。山から採ってきたものと自家製のお米と味噌。食べ物のほとんどを自給できてしまう農村の暮らし方や山菜の種類の豊富さに漁師の方々もとても感心していました。お昼を食べながらこの3ヶ月を振り返りながらぽつりぽつりと話して下さる言葉がとても印象的でした。

一助
 一助さんでは、午前中に男性は田んぼの畦シート張り、女性は苗箱洗いと山菜採り、午後はそば打ちに挑戦しました。
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 前回6/4は出来なかったそば打ち。今回こそとみなさん張り切って挑戦。「復興したら宮城で一助からのれん分けしてお見せ出すから絶対に食べに来てください」と、みなさん笑顔で、そして熱心にメモしたり実践したりしていました。
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くりの木
 くりの木さんでは、ワラビ採りやフキの皮むき(皮ひき)を行いました。
 
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 前回6/4にここでゆべし作りも経験した方々も含めた3人。すっかりお互いに仲良くなっていて、「第二のふる里が仙北にできたよ。復興したら絶対に三陸の魚介を食べに来てもらうんだ」とはりきってらっしゃいました。
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のどか
 のどかさんでは、6/4も参加した方も含めて小豆の種植えをお手伝い。「小豆は隣は遠いほどいいのよね」なんてみんなで話しながらなれた手つきでまいています。
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 「ちょっとずつ仮設住宅も当たりはじめて、嬉しいけど寂しいような気もする。仙北市が本当に好きになったから。収穫にもみんなでこなくちゃね」と仲良し三人から。
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泰山堂
 泰山堂さんにも6/4と同じメンバーの方が参加。前回蒔いた大豆が鳥に食べられてしまい、今回はリベンジでした。その他にもサクランボやイチゴを収穫したりもしました。
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 収穫したイチゴを使ってイチゴ大福づくりにも挑戦。グリーンツーリズム西木研究会で毎年取り組んでいる「もちっこバイキング」を彷彿させるもちもちランチでした。
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里の灯
 里の灯さんでは、気持ちの良い日差しの中、庭先でフキの皮むきをみんなで手伝いました。
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 里の灯のお父さんは三味線の名手。お昼ご飯時にはみなさんのリクエストに応えてドンパン節など秋田三味線を奏でてくれました。忘れられない響きになったと喜んでいらっしゃいました。
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 農山村体験デザイン室スタッフ3人で手分けして各農家民宿を回ったのですが、どこの家からも明るい笑い声が響いてきました。多くの困難に直面し、先の見えない不安な日々の中で、本当にぎりぎりの気持ちの中で生活をされている訳ですが、受け入れている各ホテルのスタッフの方々との交流により生まれた信頼関係、さまざまなサポート、そして今回のような地域の方々との交流を通じて少しずつでも前向きな気持ちになってきていると、多くの方がおっしゃっていました。


 この夜、農家交流に参加したあるホテルの夕食では、ちょっとしたお祝い事がありました。なんと避難された方の中に藍綬褒章を受章された方が。残念ながら東京での伝達式に行くのが困難ということで、ホテルの配慮でサプライズのお祝い会をひらきました。
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 お祝いの席では、6/7に復活させた獅子振りを改めて実演。子どもからお年寄りまでが、自分たちの集落の正月行事である懐かしい獅子振りのお囃子の太鼓や笛の音に酔いしれていました。
 太鼓や獅子頭は津波で流されてしまったそうで、かろうじて残った笛、借りることの出来た太鼓で、この獅子振りは復活しました。
 しかし、獅子頭だけは。。。。。と思ったら
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 なんとこれ、支援物資の中にあった唐草模様の風呂敷に、座布団、スリッパ、空き缶でおばあさん達が手作りで作ったものなんです。本当に、本当にいい顔しています。


 最後に、ある農家民宿での会話。
農家民宿:「本当にこの世の中どこにいたって何が起こるかわからないさ。ここだって駒ヶ岳は活火山だしね。やっぱり支え合って行かなきゃ生きていけないんだよね、私らはお互いに」
避難者:「駒ヶ岳が大変なことになったらいつでも私たちがバスを仕立てて迎えに来るからね。その為にも私たちははやくふる里を復興させるから。がんばらないとね!」
避難者:「そうだな。人の一生の中でこんな震災に合う事なんてなかなか無いことだ。でもこうやって秋田・仙北の人達との間でこんな縁ができたことだって、本当に一生のうちになかなか無いことだ。この友情を大切にしていかないとな」


 この交流が、避難している方々の復興に臨む支えとなり、またグリーンツーリズムという言葉が日本に来る前からいわゆる農村交流をやってきたここ仙北市の農家のみなさんの自信につながることを、願ってやみません。
by semboku_gt | 2011-06-24 14:30 | 女川交流