仙北市農山村体験デザイン室では、グリーンツーリズムの推進や、教育旅行の受入窓口などを担っていますが、これ以外にも農山村がもっているたくさんの可能性を具現化していくことに取り組んでいます。
今日はその一つをご紹介します。
仙北市内のホテル等に避難している被災地の方々に、市内の農家などで農林業などのお手伝いをしていただいたり、農作業で忙しい農家の賄いご飯を作ってもらうなどすることで、地域の方々と交流を深めたり、仙北の生活文化とふれあってもらったりしてもらうことができないかと考えた当デザイン室では、仙北市東日本大震災支援本部と情報交換しながらホテル関係者や避難者の方々との調整を重ねて、6/15(水)にグリーンツーリズム受入団体である仙北市農山村体験推進協議会(事務局:当デザイン室)が窓口となって市内の2団体(NPO法人田沢湖ふるさとふれあい協議会・グリーンツーリズム西木研究会)に所属する農家民宿11件でこの避難者による農山村活動プロジェクトを実施することになりました。
漁業関係者が多いため、農山村での生活文化や農作業そのものが珍しいことはもちろん、めいっぱい体を動かしたり、あるいは自らがキッチンに立って料理を作ったりすることが難しい状況の中で、普段から農業体験や農村生活体験などの受入を実施している農家民宿などグリーンツーリズムができることは、まさにこのような事なのでは??とのひとつの答えです。
このプロジェクトの実施に先駆けて、去る6/4(土)にはグリーンツーリズム西木研究会に所属する5件の農家民宿が、独自に田沢湖高原のホテルと調整して、数名の方々と練習を行いました。
当デザイン室でもこの練習を取材させていただきましたのでご紹介します。
こちらは、ほうれん草農家で作業する方々。水揚げした魚を手際よくさばいていた方々達だけに、あっという間にコツをつかみ農家顔負けの作業効率でした。
こちらは、土を起こし豆を植えた3人組。作業の後のお昼ご飯は、みなさんできりたんぽづくりを農家に習って食べたそうです。
こちらは田植えの手伝いと育苗箱洗いをお手伝いいただいたお二人。午後は農家からゆべし作りを習っていました。
みなさんから聞いた感想は、
「ひさしぶりにネコ(一輪車)を押して体を動かした。気持ちよかった」
「最初は難しかったけれど、だいぶ耕耘機を扱うことにも慣れた。また来たときはもっとお世話になった農家のために働けると思う」
「みんなで協力して魚をさばいていた頃のことを思い出した。うれしいわ」
「ぜひまた来たいし、他の仲間たちにも伝えたい」 などなど。
また、今回受入の練習をしてみたある農家からは
「おばあちゃん達が言った言葉で自分が今思い起こすのは、『蕗一杯あるけど、食わねのが?なんで採らねの?』ですね。自分には蕗は有りすぎて、山の中のは採るもので、道端のは採るものではなかったから。でも言われて見ると当たり前だけど食べれるな~。と言うことから、怠けなければ自分は食文化豊かなところに暮らしているんだと、解ってはいた気がするけど、そうなんだと思った。」 といった感想もいただきました。
また、今回練習を実施したホテルでは、総支配人さんのもとでスタッフさんも積極的な支援活動を行っており、避難している方々の現地まで炊き出しや片付けの手伝い等を実施したり、意見交換などをまめに実施しているそうです。
このことについては、ホテルへ、あるいは仙北市民のみなさんに対するお礼の言葉を、今回まわった農家で口を揃えて言っていました。
さらに、作業とは直接関係無いことではありますが、とてもうれしかったこととして、
「仙北市の方は自慢していい。とにかく道路や町が綺麗。ゴミ一つ落ちていない。このことはホテルにいるみんなが言っている。仙北市は美しい町だ。もっとみなさん自信を持っていいですよ」 と、誰もが口を揃えていっていたこと。
当たり前で気づかなくなっていたこの豊かな自然とそれを守る私たち市民の心に響く嬉しい言葉でした。
全国各地で「震災・復興支援のために自分自身で出来ること」をたくさんの方が考え工夫しそれを実行されています。そんな中での「グリーンツーリズムができること」のひとつとして、このような活動をこれからも関係する方々と連携しながら考え、実行していきたいと思います。